簿ケースで学ぶ簿記3級
目次▼

APPENDIX

付録B試験攻略マニュアル

60分で70点を取りにいく、合格のための作戦書

試験は、知識の量ではなく「点の取り方」で決まる。出題構成、時間配分、解く順番、頻出論点、ケアレスミスのパターン、そして学習計画。限られた時間をどう使うかを決めて、合格までの道のりを設計しよう。

読了目安 20分難易度 ★☆☆

GOALS

この章で学ぶこと

この章の目次▼
  1. 01試験の基本情報
  2. 02出題構成と配点
  3. 03時間配分と解く順番
  4. 04第1問の攻略 ― 仕訳15問
  5. 05第2問の攻略 ― 帳簿・伝票・理論
  6. 06第3問の攻略 ― 決算
  7. 07ケアレスミス・ワースト10
  8. 08学習計画 ― 4週間プランと8週間プラン
  9. 092027年度からの出題区分表の改定(暫定版)
  10. 10試験直前チェックリスト

QUESTION ― この章の問い

知識が同じ2人の、合否を分けたもの

同じ教材で、同じ時間だけ勉強した2人の受験生がいた。模擬問題を解かせると、2人とも、時間をかければほぼ満点が取れる。

ところが本番の結果は、1人が88点で合格、もう1人は64点で不合格だった。

不合格だったほうは、試験後にこう振り返った。「第2問の帳簿の問題で手が止まって、時間を使いすぎた。気づいたら残り15分。第3問の決算は半分も埋められなかった」。

知識は同じ。違ったのは、60分という限られた資源の使い方だった。

01試験の基本情報

日商簿記3級の概要
項目内容
主催日本商工会議所・各地の商工会議所
試験方式統一試験(ペーパー試験:例年6月・11月・2月)と、ネット試験(テストセンターでのパソコン受験:随時)
試験時間60分
満点・合格基準100点満点、70点以上で合格
出題範囲商工会議所簿記検定試験 出題区分表にもとづく(2026年度は2022年度適用の区分表)
持ち物電卓(四則演算などの計算機能のみのもの。関数電卓などは不可)、筆記用具(統一試験)

※受験料、試験日、申込方法、持ち込みの細かな条件などは変更されることがある。受験前に必ず、日本商工会議所と受験地の商工会議所の公式情報を確認しよう。

統一試験とネット試験の違い
項目統一試験ネット試験
解答方法紙の答案用紙に手書きパソコンで入力(勘定科目はプルダウンなどで選択)
試験日年3回の指定日テストセンターの空き状況に応じて随時
計算用紙問題用紙の余白など計算用紙が配布される
合否の判明試験の後日試験終了後、その場で判明する
出題範囲・合格基準同じ同じ

02出題構成と配点

出題構成(例年の傾向)
大問配点主な内容
第1問45点仕訳問題15問(1問3点)。期中取引が中心で、証ひょうから仕訳する問題も含む
第2問20点小問2問程度。勘定記入、補助簿の記入・選択、伝票、商品有高帳、固定資産台帳、語句の選択など
第3問35点決算問題。財務諸表の作成、精算表の作成、決算整理後残高試算表の作成のいずれか

合格ラインの作り方(例)

第1問

39点/45点

15問中13問正解

第2問

10点/20点

半分取れれば十分

第3問

25点/35点

決算整理の7割を正確に

合計

74点

70点の合格ラインを超える

03時間配分と解く順番

おすすめの順番と時間配分

  1. 1

    第1問(仕訳15問):約20分

    1問80秒が目安。迷った問題は印をつけて飛ばし、最後に戻る

  2. 2

    第3問(決算):約25分

    決算整理仕訳を先にすべて書き出してから、解答欄に記入する

  3. 3

    第2問(帳簿など):約10分

    解ける小問から解く。見慣れない形式なら、取れる空欄だけを埋める

  4. 4

    見直し:約5分

    第1問の勘定科目と金額、第3問の合計の一致を確認する

04第1問の攻略 ― 仕訳15問

第1問の頻出論点
論点出題のされ方の例復習する章
現金過不足原因の一部が判明、決算での整理第3章
預金・小切手・小口現金複数口座間の振替、小口現金の報告と補給第4章
商品売買諸掛り、返品、手付金の充当、消費税第5・14章
クレジット売掛金・受取商品券手数料の計上、商品券での受取り第7章
手形・電子記録債権発生記録、決済、手形借入れ第8章
その他の債権債務未払金、仮払金の精算、ICカード、差入保証金、役員・従業員との貸し借り第9章
給料・預り金天引き、社会保険料の納付と法定福利費第10章
貸倒れ当期発生と前期発生の区別、償却債権取立益第11章
固定資産付随費用、期中売却第12章
株式・配当増資、配当の決議と支払い第13章
税金固定資産税、法人税等の中間納付、消費税の納付第14章
証ひょう請求書・領収書・通帳からの仕訳第16章
訂正仕訳勘定科目や金額の誤りの訂正第16章

05第2問の攻略 ― 帳簿・伝票・理論

第2問の主な出題形式と攻略法
形式攻略法復習する章
勘定記入(T字勘定の空欄補充)前期繰越・再振替・期中取引・決算整理・次期繰越の順に、勘定の1年間の流れを再現する第15・19章
補助簿の選択まず仕訳を書き、勘定科目ごとに補助簿を当てはめる第16章
商品有高帳払出欄は原価。先入先出法は単価ごとに行を分ける第6章
伝票・仕訳日計表一部現金取引の起票方法を、入金・出金伝票の相手科目から判断する第16章
売掛金元帳・買掛金元帳取引先ごとの残高と、総勘定元帳の残高の一致を使う第7章
固定資産台帳期中取得の月割に注意して、減価償却累計額を計算する第12章
語句の選択(理論)用語の意味を、自分の言葉で説明できるようにしておく全章の「重要理論」

06第3問の攻略 ― 決算

第3問を解く手順

  1. 1

    「期中の未処理事項」を先に処理する

    仮受金の内容判明、記帳漏れ、誤記の訂正など。これを先にやらないと、売掛金や消費税の金額がずれる

  2. 2

    決算整理仕訳をすべて書き出す

    問題用紙の余白に、決算整理事項の順に仕訳を書く。金額の計算式も書く

  3. 3

    勘定科目ごとに金額を集計する

    試算表の金額に、仕訳の金額を同じ側なら足し、反対側なら引く

  4. 4

    法人税等を最後に計算する

    税引前当期純利益が確定してから計算する

  5. 5

    解答欄に記入し、合計の一致を確かめる

    精算表なら損益計算書欄と貸借対照表欄の当期純利益の一致、財務諸表なら左右の合計の一致を確認する

07ケアレスミス・ワースト10

よくあるケアレスミスと対策
ミス対策
他人振出小切手の受取りを当座預金にする「他人振出の受取り=現金」と即答できるまで反復する(第3・4章)
当期発生の債権の貸倒れで引当金を取り崩す「いつ発生した債権か」を最初に確認する(第11章)
送料を受け取る取引で、売上に含め忘れる「受け取る送料は売上、払う送料は発送費」(第5章)
固定資産の後払いを買掛金にする固定資産の後払いは必ず未払金(第9章)
クレジット売掛金を手数料込みの金額にする手数料を差し引いた金額がクレジット売掛金(第7章)
社会保険料の会社負担分を預り金にする会社負担分は法定福利費(第10章)
配当の決議時に普通預金を減らす決議時は未払配当金、支払時に預金を減らす(第13章)
再振替仕訳を忘れる経過勘定・貯蔵品・当座借越は、翌期首に逆仕訳(第4・15章)
税込金額のまま仕入・売上を計上する税抜方式では、本体価格と消費税を分ける(第14章)
現金過不足の残額をすべて雑益(雑損)と決めつける最後は貸借差額で判断する(第3章)

08学習計画 ― 4週間プランと8週間プラン

4週間プラン(1日1.5〜2時間・短期集中型)
週学習内容
第1週序章〜第6章(簿記の基本、現金預金、商品売買)。章末の確認問題を毎日解く
第2週第7章〜第13章(債権債務、貸倒れ、固定資産、純資産)。付録Cの該当分野を解く
第3週第14章〜終章(税金、経過勘定、帳簿、試算表、決算)。第18・19章の総合例題を自力で解き直す
第4週付録Cの仕訳道場を3周。付録Dの模擬試験と、模擬問題・過去問を60分計って3回以上。間違えた論点の章を読み直す
8週間プラン(1日1時間・社会人向け)
週学習内容
第1〜2週序章〜第6章。週末に確認問題をまとめて解き直す
第3〜4週第7章〜第13章。通勤時間に各章の「試験の急所」を読む
第5〜6週第14章〜終章。精算表と財務諸表を、紙に書いて最低2回作る
第7週付録Cの仕訳道場を1日1分野ずつ。間違えた問題に印をつける
第8週付録Dの模擬試験と、模擬問題・過去問を60分計って解く。印をつけた仕訳を再挑戦する

092027年度からの出題区分表の改定(暫定版)

2025年12月に、日本商工会議所から、2027年4月1日以降の試験に適用する出題区分表の暫定版が公表された。受験時期によって出題範囲が変わるので注意しよう。

3級の主な変更点(2025年12月公表の暫定版にもとづく)
区分内容
削除される見込み紙の手形・小切手に関する論点(紙の手形・小切手が2027年3月末で利用廃止される予定のため)
2級から3級へ移行売上原価対立法(販売のつど売上原価勘定に振り替える方法)
2級から3級へ移行固定資産の除却・廃棄
2級から3級へ移行定率法(基礎的な仕組みの理解を目的とした簡易な出題。200%定率法の保証率などは出題しない)
整理・明記普通預金の明記、クレジット売掛金に「キャッシュレス決済を含む」と追記、電子記録債権・債務を売掛金・買掛金の区分に整理
リース3級の範囲外。支払家賃・支払地代は従来どおりの処理で出題

※本書は、2026年度(2027年3月まで)の試験に適用される現行の出題区分(2022年度適用版)を網羅したうえで、上記の追加論点を第5章(売上原価対立法)と第12章(定率法・除却・廃棄)で解説している。暫定版の内容は今後更新される可能性があるため、受験前に日本商工会議所の公式サイトで最新の出題区分表を必ず確認すること。

10試験直前チェックリスト

SUMMARY

前日・当日に確認すること

  • ✓受験票(統一試験)や予約内容(ネット試験)、本人確認書類を確認した
  • ✓電卓の電池は十分か。使い慣れた電卓を持っていく
  • ✓第1問→第3問→第2問の順番と、時間配分を決めた
  • ✓各章の「試験の急所」(緑のボックス)を読み返した
  • ✓付録Aの「まぎらわしい勘定科目の見分け方」を確認した
  • ✓しーくりくりしー、差額補充法、月割計算、経過勘定の4つの形を、白紙に書けるか試した
  • ✓貸借対照表の繰越利益剰余金には、当期純利益を加える